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壁でもソファでもセンサー吹き付け MITなど「スプレーで構築できるユーザーインタフェース」開発

運営事務局 JIMOPLE 17 August 7, 2020

エアブラシで回路を吹き付け、どこでもユーザーインタフェースに。

このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。

 米MIT CSAIL、英ブリストル大学、英バース大学による研究チームが開発した「Sprayable User Interfaces」は、エアブラシで吹きかけた表面をセンサーに変えてユーザインタフェースを構築できるシステムだ。

 3Dソフトで設計して生成したステンシルを使って壁やソファなどに特殊なインクをエアブラシで噴射し、マイクロコントローラと統合することで、その箇所をタッチ入力などが可能なセンサーに変える。

photo Sprayable User Interfacesのワークフロー (a)3Dソフトで設計 (b)ステンシルを基にエアブラシで噴射 (c、d、e)噴射後の様子

 用意するのは、ダブルアクション方式のエアブラシ、オペレーター用保護ツール、そして銅インク、誘電体インク、蛍光体、透明導電体などの機能インク。

photo エアブラシ、オペレーター用保護ツール、複数の機能インク

 インクが重なることによるショートを避けるため、ステンシルを利用して丁寧に噴射する。物理的なステンシルが適用できないところではデジタルステンシルを投影し、その内側に噴射する。

photo (a)物理的なステンシル (b)投影型ステンシル

 タッチボタン、近接センサー、タッチスライダーを機能させたい時には1回だけの単層噴射を、有機ELディスプレイを構築したい時には複数回噴射する。

photo (上段)タッチボタン、近接センサー、タッチスライダー機能を構築する場合は単層噴射 (下段)有機ELディスプレイの場合は多層噴射

 ユーザーインタフェースの設計には3Dソフト(Blender)を用いる。3Dソフトでは、電子回路の設計とステンシルのデザインも行う。

photo (a)対象となる壁を測定し (b)Blenderに取り込みユーザーインタフェースの設計をする
photo (a)ビジュアルデザイン (b)銅インク用の電子回路 (c)ビジュアルデザインと電子回路を統合した図

 3Dエディタでデザインしたステンシルをエクスポートし、レーザーカッター等を用いて作成する。

photo (a)生成されたステンシルはPDF形式でエクスポートされ、(b)レーザーカッターなどで切り出す

 そして、位置合わせした箇所に、電子回路用ステンシルで銅インクを噴射し、その上からビジュアル用ステンシルで色を吹き付ける。

photo (a、b)電子回路用ステンシルで銅インクを噴射し、(c、d)その上からビジュアル用ステンシルで色を吹き付け

 最後に、マイクロコントローラを接続することで機能させる。今回作成したのは、電球の絵でオン/オフ、スプレーの絵で明るさと色を調整する電灯だ。電球の絵をタッチし、スプレーされた絵をスライドさせることで電灯を制御する。

photo 電球の絵をタッチして電灯をオン/オフ、スプレーされた絵をスライドして明るさと色を調整する

 完成したセンサーは、背景と同じ色で塗るか、シンナーで拭き取るかで削除できる。3Dソフトで新しいレイヤーを作成することで、既存のデザインに新しいコンポーネントを追加できる。

 さまざまな表面テクスチャや表面形状にも効果を発揮する。例えば、ソファなどの柔らかい素材にも適応できる。

photo インタラクティブなソファ (a)水色のタッチセンサーは、ユーザーがソファに座ったことを検知する。緑色の近接センサーは、スワイプジェスチャーを感知する (b)ユーザーが座るとフォトアルバムアプリが起動し、肘掛けの上でスワイプすると写真が切り替わる
photo 観光ガイド向けの利用例。有機ELディスプレイに触れると、地下鉄駅がどこにあるかを音声で案内したり、観光スポットを案内したりする

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