News Home » World » 【ラグビーワールドカップ】日本vs南アフリカを徹底分析。勝利の鍵は『前半残り20分』

Around the World

【ラグビーワールドカップ】日本vs南アフリカを徹底分析。勝利の鍵は『前半残り20分』

運営事務局 JIMOPLE 94 October 20, 2019

ラグビーワールドカップで、史上初のベスト8進出を決めた日本の新たな挑戦の時がやってきた。

10月20日午後7時15分から始まる準々決勝で、迎え討つのは宿敵の南アフリカ。前回2015年のイングランド大会での日本の勝利は、「ブライトンの奇跡」「スポーツ史に残る大番狂わせ」と評された。

あれから4年。あの勝利が奇跡でなかったことを、自国開催のワールドカップの舞台で証明する戦いでもある。

予想を上回るパフォーマンスで1位通過した日本に対して、南アは2位通過とはいえ、絶対王者のニュージーランドにも善戦し、圧倒的な攻撃力を誇っている。直前のテストマッチで日本は7-41で敗戦している

日本の勝機はどこにあるのか。直接対決を前に、日本と南アの予選プール4試合の総得点・失点、トライ数と被トライ数、時間帯ごとの戦績などを比べた。

数字から見えてきたのは、日本と南ア戦の勝利の鍵を握るであろう「前半残り20分」だった。

まず、日本と南アの総得点・失点の比較から

日本:115-62(前半58-35、後半57-27)、トライ数 13-7(6-4、7-3)

南ア:185-36(前半98-23、後半87-13)、トライ数 27-3(14-2、13-1)

南アは185点(試合平均46.25点)と予選プールで最多得点を叩き出している。トライも27(平均6.75)と最多で、13の日本の倍以上。攻撃力の差は歴然としている。 

一方、日本はペナルティキックでの得点が多く、成功数は最多の10。南アの3を大きく上回る。日本が粘り強い攻守で相手の反則を誘い、そこで得たチャンスを着実に積み重ね、勝利に結びつけてきた様子が垣間見れる。

着実に点を取りに行く姿勢は、トライ後のコンバージョンキックに表れている。成功率は日本が77%で、南アの70%を上回っている。

前半後半で見ると、日本は得点がほぼ一緒で、南アは得点が離れて手を緩めた可能性もあるが、後半はやや落ちている。日本が一試合を通してパフォーマンスを保っていると見ることもできる一方、スタートダッシュに欠けるとも言えるかもしれない。

次に、試合を20分ごとに4つの時間帯に分け、日本と南アフリカの得点や失点傾向を比較する。

 【前半開始20分】

日本はロシア、アイルランド、スコットランド戦で、いずれもトライで先制点を奪われている。特にロシア戦は前半5分、スコットランド戦は前半7分に早々の失点。予選の総失点の約4割に当たる25点が、前半開始20分の間に固まっている。21得点とオフェンスである程度はカバーしているが、立ち上がりの弱さが課題と言えそうだ。

一方で、予選で最多トライを奪っている南アは、スタートから全開モード。圧倒的な攻撃力で、格上のニュージーランドも含めて全試合で先制点を挙げている。8トライ量産で58得点、失点もイタリアにペナルティを許したたった3点。攻守ともにこの時間帯が最もパフォーマンスが高く、付け入る隙を与えない。

立ち上がりが重い日本は、畳み掛けるトライで一気に勝負を決めにくる南アの猛攻をどれだけ防げるかが、鍵を握ることになる。 

 前半20分以降は、日本は立ち上がりの悪さを取り戻すかのように集中し始める。失点は試合全体を通じて最も低く、10点に抑えている。得点も計37点とトップで、この時間帯は全ての試合で得点を取っている。

コンバージョンとペナルティ合わせて7本のキックを蹴り、ミスはゼロ。身体が馴染んできたのか、攻守ともに高いパフォーマンスを発揮している。 

南アは真逆だ。序盤のスタートダッシュにほころびが見える。爆発的な攻撃力は健在だが、失点が目立ち始め、総失点の約56%がこの時間帯に集中している。

ニュージーランドに許した連続失点が中心ではあるが、特に前半20分台に集中している。尻上がりに調子を上げ、この時間帯に最もオフェンス力を発揮する日本にとっては得点チャンスで、試合を左右する山場となると予想される。  

前半とは異なり、日本は後半は立ち上がりから積極的に攻め、得点を重ねている。スコットランド戦は後半3分にトライを奪取。ロシア戦は後半4分にペナルティキックを成功させ、直後の7分にトライを奪っている。猛追で2トライを失ったスコットランド戦を除けば、失点もほとんどしていない。

南アは、後半の立ち上がりも攻勢は変わらず、失点もほとんどない。ニュージーランド戦でも、前半のデフェンスの乱れを修正して無失点でしのぎ、トライやドロップボールを決めて一気に追い上げた。攻守にわたり高いパフォーマンスを見せる。

両チームとも、集中したゲーム展開となりそうな時間帯だ。

日本はアイルランド、スコットランド戦と僅差で追われる試合が多かったが、最後の20分も集中が切らさず、しっかり逃げ切った。疲れが出るこの時間帯でもトライなどで追加点を挙げながら、失点も10点に抑えている。後半に猛追を許したスコットランド戦も、この時間帯は得点させなかった。

南アも攻撃の手を最後まで緩めず、堅固な守備も健在だ。この時間帯はトライを奪われていないため、日本としてはリードされる展開は避けたい。終了間際には、圧倒的な得点差からの気の緩みもあるかもしれないが、コンバージョンキックを精度が落ち、ミスが若干目立つ。接戦に持ち込めれば、有利に働く可能性がある。

元U20日本代表監督で、現在日本ラグビーフットボール協会理事の中竹竜二さんは、日本と南アの特徴を次のように説明する。

「日本チームは立ち上がりは悪いが徐々に相手のペースを掴めると自分たちの持ち味を発揮するチームです。過去のワールドカップ大会と比べても、今年のチームは非常にディフェンスが良くなっただけでなく、攻撃で100点を超えたのは日本ラグビーの中では初。ディフェンスの特徴は、低く鋭いタックルと素早く何度も起き上がる粘り強さで、相手の勢いを食い止めています。後半になってもその精度が落ちないほど持久力を強化しています。攻撃は、福岡、松島といったスピードのある選手を起点に前進し、テンポよくボールをつなぎ、パスの技術やステップの巧みさを武器に、相手を突き放してトライを取ることが特徴となっています」

「南アは、個々人の体格がよく世界一パワーを有するといわれるほど、腕力や脚力といった筋力が持ち味。正攻法でキックを蹴り、敵陣に攻め込み、力技のモールや体当たりで、トライを量産するチーム。また、ディフェンスでは、一人ひとりのタックルとジャッカルの力強さを武器に一枚岩となって圧力をかけ、相手をパニックに追いやるほど世界的におそられています」